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2009年12月

2009年12月31日 (木)

【旅】半年振りの帰郷

年末のあわただしさにかまけて、ブログの更新を怠っていたところ、とうとう最終日をむかえてしまいました(汗)。

昨夜、松山に帰郷しました。ブログを開始してから、関東を出たことがなかったので、初の「旅」となります。

Photo 半年振りの松山です。帰省された方、出迎えの方で、空港は混み合っていました。

Photo_2 やはり、今の話題はこれですね。
しっかり空港にも広告がありました。

まだ、松山市内には行っていませんが、正月休み中にあちこち回ってみたいと思います。
「坂の上の雲」にちなんだ場所もあるそうなので。

ブログを始めて3ヶ月余、たくさんのアクセス、ありがとうございました。

終盤は、駅弁ネタが少なく、上ちゃん、稲口町さんはじめ「駅弁の小窓」から来られる方の期待に沿うことができず、申し訳ありませんでした。年明けの京王百貨店の駅弁大会は、詳細にレポートする予定です。

エルザ☆、貧乏人のT君、コメントしていただき、ありがとうございました。このブログの「主役」として、来年も時々登場してもらいますので、よろしくお願いします。

では、皆様、よいお年を。

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2009年12月21日 (月)

【東京】地下鉄駅のミステリー⑤~後楽園・春日駅

後楽園といえば、東京ドーム(旧後楽園球場)や東京ドームシティアトラクションズ(旧後楽園ゆうえんち)を連想される人が多いと思います。が、この名称の由来となった、小石川後楽園は、徳川家水戸藩の庭園として作られ、徳川光圀(水戸黄門)によって改修された際にこの名が付けられました。現在は、東京都立庭園となっています。

この小石川後楽園は、少し飯田橋寄りにあり、庭園のあたりの住所が「文京区後楽」で、駅があるあたりは「文京区春日」になります。比較的住所に忠実に駅名を付ける東京都交通局は、駅名を「春日」にしています。

東京メトロは「後楽園」として、丸ノ内線と南北線の駅を、東京都交通局は「春日」として三田線と大江戸線の駅を開業しています。それぞれ地下通路でつながっていますが、これまた奇妙な作りになっています。

もともと、丸ノ内線の後楽園駅と都営三田線の春日駅は別の駅でしたが、後からできた南北線と都営大江戸線によって両駅がつながったものです。

Photo 丸ノ内線は、このあたりは地上を走っています。後方に見えるのが東京ドームシティです。この通りの下に南北線の駅がありますが、地下37.5mにあり、都営大江戸線六本木駅、千代田線国会議事堂前駅に次ぐ深さとなっています。
丸ノ内線の駅が地上にあるため、高低差ナンバーワンの駅となっています。同様の造りとなっている駅としては、日比谷線と千代田線の北千住駅、銀座線と半蔵門・副都心線の渋谷駅があります。

南北線は、東京ドームの真下を通っており、ここにある地下施設を避けるためにこのように深くなったという説がありますが、真相は不明です。
写真の左手には、文京区役所などがある文京シビックセンターがあり、ここから手前に少し歩くと、春日通りと交差します。この春日通りの下を走っているのが、都営大江戸線です。

Photo_2 文京シビックセンターの地下鉄入口です。区の施設ということもあって、敷地内に入口が設けられています。

Photo_3 ここから入ると、東京メトロと都営地下鉄は別方向に進むことになります。一見便利そうですが、丸ノ内線へは、地上を歩いたほうが近くてわかりやすいと思います。
一方、都営三田線へは、都営大江戸線のホームを歩いて行くことになります。都営三田線は、水道橋から通じる白山通りの下を通っています。

よって、丸ノ内線から都営三田線への乗換は、まるまる2つの路線のホームを歩き、しかも高低差があるため、相当に不便です。両線の乗換駅には大手町駅もありますが、こちらも便利とは言えません。
丸ノ内線と南北線の乗換駅としては、他に四ツ谷駅がありますが、なぜかこの駅も丸ノ内線は地上にあり、高低差があります。

東京の地下鉄は、後からできた路線によって、無理やりつながったような駅があちこちに見られます。雨の日などは、外に出なくてもいいというメリットはありますが、乗換案内があるからと言って、よく知らないで降りるととんでもなく歩かされるのは、よくあることです。この駅などは、その好例と言えるでしょう。

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2009年12月13日 (日)

【ミステリー】カー「火刑法廷」考察

※この記事は、本来タブーであるべきネタバレを含んでいます。作品の性質上、言及しなければ解説できないと判断しました。未読の方、特にこれから読もうとしている方は読まないでください。

私は、「ミステリーノート」というものを作成している。読み終わった作品のあらすじ、結末、メイントリックなどを書きとめておかないと、内容を忘れてしまうことがあるためである。それを読み返していると、どうしても結末に関してひっかかる作品がある。ジョン・ディクスン・カーの「火刑法廷」である。

Photo ハヤカワミステリ文庫「火刑法廷」
The Burning Court by John Dickson Carr,1937

カーは、本格黄金時代の1930年から戦後の70年代まで、長きにわたって本格推理小説にこだわり続けた作家である。
そういった意味で、クリスティーやクイーンとともに高い評価を受けている。

密室ものを多く書いたという点では、おそらくNo.1で、そのトリックの中には、マジックに応用されているものもあるという。
横溝正史や高木彬光ら、強い影響を受けた日本人作家も多い。

カーの作品は、人によって評価が分かれ、アンケートなどでは票が分散する傾向があるが、この「火刑法廷」をもっとも高く評価する人が多い。本のカバーにある「第4位」の文字は、20世紀末に、ハヤカワ文庫の作品のベスト100を選んだ時のもので、チャンドラー「長いお別れ」、アイリッシュ「幻の女」、クリスティー「そして誰もいなくなった」に次ぐ評価を得た。

これだけ高い評価を得ているこの作品であるが、読了後にこれほど首を傾げた作品も他にない。私も、読み進めていき、最後の5ページにさしかかるまでは、5本の指に入る名作だと感じていた。

そこへあのエピローグである。これが、マリー・スティーヴンスの独白であることはすぐにわかる。が、この独白が真実だとすると、一度ゴーダン・クロスが解き明かした謎は、すべて仕組まれた罠ということになる。マリーと毒殺魔との関係も白紙に戻ってしまうなら、これは怪奇小説になってしまう。

エピローグには、明確には書いていないが、マーク・デスパードが共犯で、コーベットを犯人に仕立て上げるためにクロスを利用し、彼をも殺害した。というのが真相ということになろう。
マークは行方不明のまま終わるし、クロスは死んでしまっており、マリーの独白以外に、真相を知るすべはない。ある解説書によると、真相の解釈は読者に任せられているとのこと。
マリーの独白は、あくまで彼女の幻想の世界にものであると解釈すれば、クロスの推理通りであるが、彼女の独白通りであれば、また違ったものになる。ただ、その場合でも、彼女とマリー・ドーブリーの関係が謎として残ってしまう。

この作品には、死体消失トリックと人間消失トリックの2つが用いられており、この真相はクロスが推理した通りであろう。もしこれまでクロスのでっちあげだとしたら、この作品のすべてが訳のわからないものになってしまう。

こうした仕掛けがあるため、シリーズ探偵のフェル博士もH・M卿も登場しない。このような設定は、何が起こるかわからないという点で面白いのだが、この結末は、いささかやりすぎで、この作品が人によって評価が分かれる原因であろう。

このように、謎を残したまま終わるという結末は、その後、他の作品に模倣されるのであるが、この作品は、オカルト的要素を含んでいるので、とりようによっては推理小説ではなくなってしまう危険性をはらんでいる。

もっとも、このように批判的な議論がなされることも、カーの狙いであるのかも知れない。そうだとすると、私もカーの手の上で踊らされているということになろうか。

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2009年12月10日 (木)

【音楽】GLORY GO!GO!GIRLS at LIVE INN ROSA

池袋ライブインロサ「GLORY GO!GO!GIRLSのファーストシングル『Party!Party!』のリリースイベント」に行ってきました。(貧乏人のT君、チケット代くらいは用意してくるように)

GLORY GO!GO!GIRLS(G4)は、エルザ☆が参加するグループで、普段は各自単独で活動するアーティストの集まりですが、今回、初めて団体としてCDを制作したとのことです。
今回は、シュノンソー(2人)、moecotic、大森真理子の4人がメイン。エルザ☆はコーラスとして参加しています。

Photo 撮影禁止ということでしたが、最後にみんなが勢ぞろいしたところで、堂々と撮影。
このメンバーだと、エルザ☆はいつも端っこなのね。

会場は大盛り上がりでした。

Photo_2 右がT君お気に入りのmoecoticです。今回、CDに収録されている「Colorful Daily Life」という曲を披露。

T君は、お楽しみ抽選会で当選し、ぬいぐるみをゲット(爆笑)。

Photo_3 プロモーションビデオです。本日発売。まだ見ていません。暇なときにじっくり見ます。

個性的でアクティブな女の子たちの集まりです。
みなさん、ぜひCDを聴いてみてください。次のライブでお会いしましょう。

詳しくはこちらをご覧ください。

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2009年12月 8日 (火)

【東京】お江戸日本橋に思いをはせて

日本橋-この地名を知らない人はいないでしょう。江戸時代には、各街道の拠点として機能し、江戸商人文化の中心でありました。しかしながら、平成の世の現在、この地の現状を知っている人がどれほどいるのか-それを不安に思い、この記事を思いついた次第です。

Photo 現在の日本橋の状況です。石原都知事をはじめとして、景観論争が起こっている通り、歴史ある日本橋の上に首都高が走っています。

Photo_2 日本橋から、上流を見た写真です。上流に見える一石橋も江戸時代からある橋です。下を流れる日本橋川は、時によって逆流するのは、隅田川などと同じです。これによって、汚水が溜まってしまうということもあるようです。

Photo_3 日本橋のたもとには、道路元標があります。江戸時代に、街道の起点であった名残から、現在も各国道の起点でもあり続けているわけです。

Photo_4 現在、三越日本橋本店地下通路(地下鉄銀座線と半蔵門線ののりかえ通路)には、江戸時代の日本橋の風景画が展示されています。
ここで足を止める人もかなり多いように、この地を訪れるたびに、江戸の世に思いをはせることがあります。

この絵に、富士山が描かれているように、なんとここから本当に富士山が見えたのだそうです。
上流には一石橋が見えます。この橋のたもとには、当時金貨を鋳造した金座、現在の日本銀行があります。
ちなみに、銀座というのは、銀貨を鋳造した所にありますが、このことはまたの機会に。

Photo_6 日本橋から、中央通りを見た風景です。左手前は、寝具で有名な西川で、近江西川呉服店として江戸時代からある老舗です。
コレド日本橋や高島屋本店も見えますが、海苔の山本山も、江戸時代は山本屋と呼ばれ、当時の地図にも載っています。

右手を入った所には、これも幕末から続く和菓子の榮太郎總本舗があります。

このように見ても、この街が、江戸時代には、商人の町として栄えたことがうかがえます。

Photo_11 日本橋を渡った先の風景です。左手が三越日本橋本店です。
ここは箱根駅伝の復路の最終地点にあたり、ここを左折して大手町のゴールを目指します。

日本橋は、江戸時代の中心でありましたが、現在は商業の中心地を銀座や新宿に奪われ、すっかり過去の遺物となった感があります。
しかしながら、わが国最初の○○といったことを語る際に、幾度も登場する町であります。決して寂れているわけではありません。特に地方から来られる方には、ぜひともこの地を訪れて、江戸時代から続く歴史に触れてほしいスポットであります。   

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2009年12月 6日 (日)

【駅弁】東北地方のおすすめ駅弁

ブログを書き始めて2か月半、おかげさまでアクセス数も増えて、うれしい限りです。人気記事ランキングでも、各カテゴリーにバランスよく分散しているのは、いろいろな人が見てくれているということで、ひとまず当初の目的通りです。
反面、常に上位にきていた駅弁が、アクセスが少なくなっています。このところ、駅弁収穫をしておらず、駅弁ネタが少ないので、駅弁ファンに愛想を尽かされてしまったのかも。

そこで考えました。このブログを見ていただいている人は、必ずしも駅弁にくわしい人ばかりではなく、新規取得のものにこだわらず、有名駅弁の紹介をしてもよいのではないか。「駅弁の小窓」のように、駅弁に精通した人が訪れるサイトでは、すでに語りつくされていて、今ではあまり語られることのない駅弁について紹介するのもアリかと思いました。

以前、「私的駅弁ランキング」というのを紹介しましたが、この記事のアクセスが多いようなので、ここにランクインした駅弁について、いくつか紹介します。

1位の宮島口「あなごめし」はすでに紹介しましたが、これは、個人的にはダントツで、1位と2位の差は相当あるのですが、これを別格とした場合、最高ランクとしたいのが、大館「鶏めし」です。

Photo 鶏めしというと、そぼろや照焼きが多いのですが、これは甘辛く煮た鶏のブツ切りが乗せられています。
この鶏肉の調理法が秘伝なのでしょう。ほどよい柔らかさと歯ごたえがあり、他には真似ができない味わいです。あきたこまちのご飯もおいしく、このダシも秘伝のものと思われます。
写真は、東京駅の東日本縦断駅弁大会のもので、輸送の場合は、錦糸卵に変わることもあるようです。
普段は「旨囲門」では売られておらず、春秋の東京駅の駅弁大会や京王百貨店の駅弁大会には出品されます。

ランキング3位とした、宮古「いちご弁当」は、残念ながら画像はありません。いちごといってもフルーツではなく、この地方の郷土料理「いちご煮」を駅弁に仕立てたものです。いちご煮とは、もともと漁師の料理で、ウニとアワビを用いたお吸い物で、このウニが赤くいちごのように見えることから名付けれらたとのことです。
駅弁では、ウニが一面に敷き詰められ、その上にアワビの切り身が乗っています。よくここまでうまく駅弁に仕立てたものだと感心させられる出来です。
毎年、京王百貨店の駅弁大会では実演販売されるので、今度は画像を残したいです。

4位にランクしたのが、米沢「牛肉どまん中」です。

Photo_2 これも、今さら、と言われそうな有名駅弁で、京王では、毎年長蛇の列ができることで有名です。
米沢には、もう一社、松川弁当店があり、2社がしのぎを削っています。
常に先行されていた新杵屋が、この駅弁によって一発逆転を果たしました。ただ、松川弁当店の逆襲も急で、予断を許しません。
米沢は、地方の駅としては、2社がレベルの高い競争をしている数少ない駅です。
なお、ブランド牛の定義が厳しくなり、「米沢牛」の表示は消えています。

東北地方の駅弁の特徴として、もう一つ挙げておきたいのが、ご飯のおいしさです。「どまん中」とは、米の銘柄で、米がいいことによって、この駅弁の素材が生きているとも言えます。

さて、今のシーズン、各スーパーなどで、駅弁大会がさかんに行われていますが、あいにく近所に大型スーパーがなく、購入する機会がありません。また、スーパーなどで駅弁はあまり買いたくないと考えています。日常的な生活の一環であるスーパーでの購入は旅情というものを感じないからです。
JR系列が主催、協賛している駅弁大会と、一大プロジェクトとして開催している京王百貨店の駅弁大会では、積極的に買いますが、それ以外では、実演販売のみ買うことにしています。
遠隔地での輸送駅弁は、日持ちをさせるために、さまざまな工夫がされています。その努力には敬服しますが、あまりに現地のものと違いすぎるのもどうかと思います。このように、輸送に向かない商品を、無理に輸送販売することは、かえって商品の信頼を損ねるように思えるのですが・・・。

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2009年12月 1日 (火)

【ミステリー】各誌の海外ミステリーBEST10考察

私は、何かにつけてランキングが好きだが、ミステリーについては、私的ランキングはまだ発表しない。まだまだ未読のものが多いことと、特定のジャンル、作家に集中してしまうからである。

以前に、江戸川乱歩が選んだBEST10を紹介したが、ミステリーのランキングという検索ワードが多く見られることから、これからミステリーを読みたい人のための目安として、雑誌等に掲載された海外ミステリーのアンケート結果を紹介したい。
 

週刊読売(1975年) 読者・専門家500人

① Yの悲劇  エラリークイーン
② そして誰もいなくなった  アガサ・クリスティー
③ 幻の女  ウイリアム・アイリッシュ
④ 樽  F・W・クロフツ
⑤ アクロイド殺し  アガサ・クリスティー
⑥ 長いお別れ  レイモンド・チャンドラー
⑦ 赤毛のレドメイン家  イーデン・フィルポッツ
⑧ 僧正殺人事件  S・S・ヴァン・ダイン
⑨ グリーン家殺人事件  S・S・ヴァン・ダイン
⑩ 赤い館の秘密  A・A・ミルン

やはりと言うか、当然と言うか、乱歩が選んだBEST10と同じ作品が多く入っている。「長いお別れ」は、ハードボイルドの名作で、1953年の発表。これ以降のベスト10の上位に必ず顔を出すことになる。

週刊文春(1985年) 推理作家・大学サークル・愛好家団体等508人

① Yの悲劇  エラリークイーン
② 幻の女  ウイリアム・アイリッシュ
③ 長いお別れ  レイモンド・チャンドラー
④ そして誰もいなくなった  アガサ・クリスティー
⑤ 鷲は舞い降りた  ジャック・ヒギンズ
⑥ 深夜プラス1  ギャビン・ライアル
⑦ 樽  F・W・クロフツ
⑧ アクロイド殺し  アガサ・クリスティー
⑨ 僧正殺人事件  S・S・ヴァン・ダイン
⑩ シャーロック・ホームズの冒険(短編集) アーサー・コナン・ドイル

5、6位に目新しい作品が入っているが、それ以外は定番。「鷲は舞い降りた」は1975年、「深夜プラス1」は1965年の発表。

ミステリ・マガジン(1991年)一般読者・ジャンル毎に選出したものを集計

① 幻の女  ウイリアム・アイリッシュ
② 深夜プラス1  ギャビン・ライアル 
③ シャーロック・ホームズの冒険(短編集) アーサー・コナン・ドイル
④ 長いお別れ  レイモンド・チャンドラー
⑤ あなたに似た人(短編集) ロアルド・ダール
⑥ 偽のデュー警部  ピーター・ラヴゼイ
⑦ Yの悲劇  エラリー・クイーン
⑧ 死の接吻  アイラ・レヴィン
⑨ 夢果つる街  トレヴェニアン
⑩ キドリントンから消えた娘  コリン・デクスター

これは、ジャンル毎に5作品選ぶという方式で、しかも「創成期から黄金時代」を一つのジャンルにしたため、古典本格ものは票が分散したようだ。よって、他のアンケートとは違った結果になった。ただ、この選出方法だと、ライバルの少ないサスペンス、スリラーが有利になり、また、ディクテクティヴ・ノヴェルをさらに3区分し、ハードボイルドを2区分したのは、恣意的であるように思う。ただ、一般読者が選ぶと、新しい作品もかなり入ってくるということがわかる。

EQ(1999年)作家・評論家・大学サークル・愛好会383人

① シャーロック・ホームズの冒険(短編集) アーサー・コナン・ドイル
② Yの悲劇  エラリークイーン
③ そして誰もいなくなった  アガサ・クリスティー
④ ブラウン神父の童心(短編集) G・K・チェスタトン
⑤ 幻の女  ウイリアム・アイリッシュ
⑥ 火刑法廷  ジョン・ディクスン・カー
⑦ 長いお別れ  レイモンド・チャンドラー
⑧ アクロイド殺し  アガサ・クリスティー
⑨ Xの悲劇  エラリー・クイーン
⑨ ナイン・テイラーズ  ドロシー・L・セイヤーズ

20世紀末に、「21世紀に伝える」と題して行われた。エラリー・クイーンの同好会の組織票があったらしいが、専門家や愛好家が選ぶとこうなる、という典型のような結果に。11位以下もポツリポツリと現代作品が混じる程度で、おおむね古典作品の圧勝。

ジャーロ(2005年)作家・評論家・大学サークル・愛好会

① Yの悲劇  エラリークイーン
② ブラウン神父の童心(短編集) G・K・チェスタトン
③ そして誰もいなくなった  アガサ・クリスティー
④ シャーロック・ホームズの冒険(短編集) アーサー・コナン・ドイル
⑤ 幻の女  ウイリアム・アイリッシュ
⑥ 火刑法廷  ジョン・ディクスン・カー
⑦ 長いお別れ  レイモンド・チャンドラー
⑧ アクロイド殺し  アガサ・クリスティー
⑨ エジプト十字架の謎  エラリー・クイーン
⑩ 薔薇の名前  ウンベルト・エーコ

ジャーロはEQの後継誌なので、ほとんど同じ結果に。「薔薇の名前」は1980年の作品で、20世紀終盤の作品としてはきわめて評価が高く、他誌でもベスト10入り寸前だった。

ミステリ・マガジン(2006年)作家・評論家・翻訳家等104人・長編のみ、短編は別途選出

① 長いお別れ  レイモンド・チャンドラー
② 火刑法廷  ジョン・ディクスン・カー
③ そして誰もいなくなった  アガサ・クリスティー
④ さむけ  ロス・マクドナルド
⑤ 幻の女  ウイリアム・アイリッシュ
⑥ 薔薇の名前  ウンベルト・エーコ
⑦ 利腕  ディック・フランシス
⑧ 八百万の死にざま  ローレンス・ブロック
⑨ Yの悲劇  エラリークイーン
⑩ 死の接吻  アイラ・レヴィン
⑩ 赤い収穫  ダシール・ハメット
⑩ 時の娘  ジョセフィン・テイ

マクドナルドとハメットは、チャンドラーと並んで「ハードボイルド御三家」と称される。早川書房のアンケートでは、ハードボイルドが上位にくる傾向があるようだ。「利腕」は1979年、「八百万の死にざま」は1982年の作品。このように、アンケートによっては現代作品が食い込むこともあるが、長く続かず定番化しない。おそらく今後、オールタイムベスト10を選出しても、同じような結果にしかならないだろう。

 
以上のように、海外ミステリーのアンケートを実施すると、必ず上位にくるのが、クイーン「Yの悲劇」、クリスティー「そして誰もいなくなった」「アクロイド殺し」、アイリッシュ「幻の女」、チャンドラー「長いお別れ」で、短編では、ドイル「シャーロック・ホームズの冒険」、チェスタトン「ブラウン神父の童心」である。これはもう定番化していると言ってよく、何度やっても同じだろう。

これらの作品に共通しているのは、現代にあっても古さを感じさせず、ストーリーのテンポがよく、初読の際に強烈なイメージを与えることだろう。
名作と言われながら、年を追って評価が下がっている、クロフツ「樽」やヴァン・ダイン「僧正殺人事件」「グリーン家殺人事件」、フィルポッツ「赤毛のレドメイン家」などは、謎解きにこだわりすぎて、やや堅苦しく、没個性で古いイメージがつきまとう。
逆に、カー「火刑法廷」やセイヤーズ、アントニイ・バークリーの作品(ベスト10入り寸前)などのように、テンポがよく、肩の力を抜いて読める作品の評価が上がっている。

乱歩がかつて、「これからは作家の個性が加わったものが受ける」と言ったが、まさにそのような結果になっていると言えよう。それにしても、現代の欧米のミステリー界は低調だ。アメリカでは、もうほとんど本格は消滅し、本家イギリスでも一部が奮闘しているのみだ。偽クリスティーでは受けない。個性的な作家が育ってほしいものだ。

     

   

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